出っ歯・前歯が出ている上顎前突の矯正治療
出っ歯・前歯が出ている上顎前突とは
前歯のかみ合わせについて、上の前歯が下に対して前方に出ており、上下の前歯で食べ物がかみ切れない状態で、軽度のものから重度のものまでありますが、一般的に「出っ歯」と呼ばれる不正咬合です。
上顎前突の患者様は「食べ物がかみ切れない」、「口が閉じづらい」、「口を閉じても前歯が見えてしまう」等のコンプレックスを感じ、矯正治療を希望して当院に来院されています。
上顎前突になる原因
基本的に、顎の大きさに対して歯が大きい場合に認められる症状で、全部の歯が生える事ができる隙間がないのに、なんとか生えようとしている状態です。
簡単に言うと満員電車状態ですね。
- 上下の顎の骨の位置のずれや大きさの違いによって起こる場合
- 歯の生える位置や角度によって起こる場合
- 1つ目と2つ目の症状が両方含まれる場合
詳しく説明しますと、1つ目は横顔を見たときに上顎が下顎より、前にあることで、各顎の骨の上にある歯自体もずれてしまっている状態です。
2つ目は、上下の顎の骨の位置が、ずれている訳ではないのですが、上の歯が唇側に、下の歯が舌側に倒されることにより、上の前歯が出ている状態が起きている状態です。原因としては、指しゃぶりや下唇を咬む癖、シーツ等のものを咬む癖、上下の歯の間に加えて楽器の演奏(上下の歯の間に楽器を挟めるような楽器)等があります。
3つ目は、1つ目と2つ目が複合して上顎前突になっていますが、大多数の患者様の原因がこれになります。
複合的な症状
上顎前突は、軽度なものから重度のものまでバリエーションが多数あります。
このタイプの方は、顎が小さい方も多いので、著しい叢生が認められることも多くあります。
また、開咬や過蓋咬合、奥歯の左右的なズレなどのかみ合わせの問題がプラスされることで、治療の難易度が一気に高くなることも多い症状です。
健康上のリスクや普段の生活で困ること
上顎前突は俗に「出っ歯」とも言われており、芸能人で言うと「明石家さんまさん」や「久本雅美さん」などがそれに当たります。
彼らのように特徴的な口元や横顔を逆手にとって自分の芸風として売り出している方もいますが、コンプレックスに感じて、治したいと言う患者様も多くいらっしゃいます。
普段の生活で困ることは、前歯のズレが大きいと前歯でものが上手くかみ切れないことや、口が閉じづらいため風邪を引きやすい、かみ合わせが深く下の前歯で上の前歯の歯茎を咬んで痛い等があります。
顎が小さく歯並びのデコボコも併発していることも多く、むし歯や歯周病になりやすいなどのリスクがあります。
また、いつも無理にお口を閉じようとする顔が怒って見えると言われるなどの悩みの原因となってくる場合もあるようです。
上顎前突の治療法
子供の治療(1期治療)
代表的なものは、いくつかあります。顎外装置で就寝時に付ける事により、上顎の成長を抑えたり、上の奥歯を後方に移動できるため、前歯の突出感を軽減する事ができます。また、骨の大きさの問題で、上の奥歯を後方に移動できない場合は、上下のあごを拡大する装置を付け、歯列を拡大することにより、前歯の突出感の軽減をはかる場合もあります。
いずれの場合も、検査を行い、どのような治療が適切であるか検討し、ご本人の性格も踏まえてご家族と相談し、治療内容を決定する必要があります。また、いずれの場合も2期治療が必要になると思われますが、1期治療で土台作りをしておくことにより、より2期治療の仕上がりが良くなったり、2期治療の治療内容もより簡素化する事が多いです。
なお、上顎前突の原因が、舌癖、指しゃぶりなどの悪習癖である場合は、子供のうちに悪習癖を改善することが推奨されます。当院では、悪習癖改善のための口腔筋機能訓練(MFT)も行っております。
成人の治療
軽度の上顎前突
横顔や口唇の閉じづらさ、ご本人のご希望によっても異なりますが、基本的には歯を抜かず、上の前歯を舌側に下の前歯を前方に唇側傾斜させることで治療をすることが多いです。上の親知らずを抜いて、顎間ゴムや矯正用アンカーを使用して上の歯列を後方に移動して治すこともあります。
軽度~中等度の上下の顎のずれと複合的な症状がある場合
歯列のデコボコ等の問題が併発していることも多いため、基本的には、歯を抜いて治すことが多くなります。隙間の閉じる際の上下の前歯と奥歯の動かし方を変えることで、上顎前突を治します。効率よく治療を進めるために矯正用アンカーが併用されること事が多いです。
重度の上顎前突の主な原因が上下の顎のずれにある場合
基本的には、外科的矯正治療によって治すことになります。矯正歯科で歯並びを、口腔外科で顎の骨を切る手術することで顎のずれを治します。